外国人材の採用・定着を支えるわかる化の実践|介護老人保健施設の受入事例

ふりがな付きの契約書・評価シートと職員の付き添い説明で、外国人材に伝わる職場をつくる

介護施設だからこその課題解決

外国人材の採用を検討する介護施設にとって、「伝えたつもりが伝わっていなかった」という問題は大きな課題です。茨城県古河市の介護老人保健施設まくらがの郷(医療法人慈政会)は、契約書・安全衛生教育・人事評価の各場面でふりがなやイラストを活用し、さらに職員が口頭で付き添い説明を行うわかる化を徹底しています。同施設はこうした取組が評価され、2026年2月に茨城県外国人受入優良企業等認定制度の認定を受けました。本記事では、優良企業認定を受けたまくらがの郷の取組を紹介します。外国人材の採用から定着までの具体的な工夫を知りたい施設担当者の方に、参考にしていただける内容です。

(左から)担当の関口氏、奥野氏、ミラ氏

まくらがの郷と外国人材採用のきっかけ

まくらがの郷は、茨城県古河市にある定員100床の介護老人保健施設です。通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションなどの事業も展開しています。現在の従業員数は98名で、そのうち5名がネパールとフィリピン出身の外国人材です。在留資格は特定技能で、いずれも介護業務に従事しています。
外国人材の採用に至ったきっかけは、介護業界全体に共通する人手不足です。同時に、多様な人材が活躍できる職場づくりへの意識もありました。採用ルートの特徴は、近隣の福祉専門学校との連携です。同校での実習をきっかけにアルバイトとして勤務し、その後特定技能の在留資格を取得して正式に雇用するという段階的な流れで受け入れを進めてきました。実習やアルバイトの期間を通じて、施設側も本人も互いの適性を確認できる点が、この採用ルートの強みです。

ふりがな付き書類と付き添い説明で進めるわかる化

まくらがの郷の取組の柱は、書類のわかる化と、それを補う口頭での説明です。この考え方は、雇用契約・安全衛生教育・人事評価の三つの場面で一貫して実践されています。

雇用契約

雇用契約書にはふりがなを付け、上司が内容を一つひとつ口頭で説明します。外国人材が署名する前に、契約条件を理解できる状態を確保することが目的です。

安全衛生教育

入職時にはイラスト中心のパンフレットを配布します。内容は滑り防止、腰痛予防、酸素ボンベの取り扱いなど、介護現場で発生しやすいリスクに対応したものです。配布後は先輩職員が付き添いながら現場で実地指導を行い、文書だけでは伝わりにくい内容を補います。

人事評価

人事評価は三段階のプロセスで行われています。本人による自己評価、上司による評価、そして本人へのフィードバック面談という流れです。評価シートにもふりがなを付け、上司が項目の意味を説明したうえで記入に進みます。評価基準が明確であることが、外国人材の納得感と成長意欲につながっています。

日本語コミュニケーションと学習支援

日常のコミュニケーションについて、担当者は「全く通じませんっていう感じではないので、こちらも助かってるんですけど」と話しています。電話対応も含め、日本語での基本的な意思疎通は可能な状態です。現場では日本人職員と外国人材が教え合いながら業務を進めており、オンライン学習の際にはスタッフが補足説明を行っています。
施設外では、古河市国際交流協会が運営するボランティアの日本語教室も活用できます。同教室は市内に複数あり、平日の昼と夜に開講しています。

住環境の整備と生活立ち上げ支援

「来てすぐ住めるように」という考えのもと、施設から徒歩10〜15分圏内のアパートを法人契約で確保しています。3人部屋で一人あたり月額約2万円弱の負担となっており、家具や家電は寄付を活用して整備しています。新たに来日する外国人材が、到着後すぐに生活を始められる環境を施設側で事前に用意している点が特徴です。

誰にでも相談できる雰囲気づくりと文化的配慮

相談体制については「すぐにこちらの事務長のところに来て、相談できる形をとっております」とのこと。事務長が直接の相談窓口となり、各フロアの主任がメンター的な役割を果たしています。職員全体で相談しやすい雰囲気を意識的につくっていることが、外国人材の安心感につながっています。
文化・宗教面では、施設内の各フロアに礼拝室を設けています。豚肉や調理酒など食事に関する個別の配慮も口頭で共有しています。

施設内の空き部屋を礼拝スペースとして活用している

茨城県外国人受入優良企業等認定制度と情報発信

同施設は、2026年2月27日に茨城県が実施する「外国人受入優良企業等認定制度」の第1回認定を受けました。同制度は、外国人材の受入れと定着に積極的に取り組む県内企業を認定するもので、令和7年度は16社が認定されています。担当者は認定を受けることで施設のPRにも繋がることに「申請してよかった」と、期待を語っています。
また、施設のホームページやインスタグラムでは、行事やスタッフの写真を掲載し、外国人材が活躍する職場の様子を発信しています。

ミラ氏の仕事風景(写真:企業提供)

介護老人保健施設まくらがの郷の取組ポイントまとめ

まくらがの郷の事例から、外国人材の受入れを検討する施設が参考にできるポイントを整理します。

雇用契約書にふりがなを付け、上司が口頭で説明する

署名前に内容理解を確保します。

イラスト中心の安全衛生パンフレットを配布し、現場で付き添い指導を行う

文書と実地の両面で安全を担保します。

人事評価シートにふりがなを付け、三段階プロセスで運用する

自己評価→上司評価→フィードバックの流れが透明性を高めます。

法人契約で住居を事前確保し、寄付品で家具・家電を整備する

生活立ち上げの不安を軽減します。

事務長を直接の相談窓口とし、フロア主任がメンター役を担う

重層的な相談体制をつくります。

礼拝室を設け、食事の個別配慮を共有する

文化・宗教への尊重を形にします。

福祉専門学校との連携で、実習→アルバイト→特定技能の段階的採用を行う

ミスマッチを防ぎます。

外国人材の採用・受入でお悩みの企業様へ

茨城県外国人材支援センターでは、外国人材の採用や受入体制の整備について、アドバイザーによる無料相談を実施しています。
センターでは、専門のアドバイザーが常駐し、外国人材の採用に関する相談対応、受入環境のコンサルティング支援、行政書士による無料相談会(毎週火曜日・要予約)などの支援を無料で提供しています。在留資格の選定や採用活動の進め方から、受入後の定着支援までサポートいたします。

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