社会福祉法⼈征峯会

外国人材の採用の取り組みにおける事例/インド人材をはじめとする外国人材受入体制の整備と定着支援

会社概要

会社名:社会福祉法⼈征峯会(せいほうかい)
所在地:茨城県筑西市
事業内容:障害者支援施設、高齢者介護施設等の運営

今回お話をうかがった方
法人本部 事業推進室室長

飯塚祐己さん

同法人が運営する特別養護老人ホームしらとり

茨城県における外国人労働者を国籍別にみると、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど東南アジア圏の出身者が5割以上を占めています。
一方で、外国人材の受け入れ・活用支援に注力する茨城県では、知事がインドを訪問するなど、東南アジア諸国にとどまらず世界各国に目を向けての採用チャネル拡大も推進しています。
日頃からアンテナを高くして時流を読み取り、県内の社会福祉法人のなかでも先立ってインド人材の採用を実施した社会福祉法⼈征峯会の取り組みをご紹介します。

今回お話をうかがった、法人本部事業推進室室長の飯塚祐己さん

外国人材採用のきっかけ

社会福祉法人征峯会は、「障害者支援施設ピアしらとり」「しらとりハワイアンデイサービスセンター」などの福祉施設を運営する社会福祉法人です。
設立以来成長を続ける同法人は新卒採用も継続して実施しており、現状すぐに人員を補充する必要はありませんでしたが、介護福祉サービスの需要がますます増えると予測される将来を見据えて外国人材の活用への取り組みを開始しました。
「この先間違いなく必要になるであろう外国人材の活用へ向けて、法人としての体力があるうちに受け入れ体制や教育環境を整えておきたいという狙いがありました」と話す飯塚さん。2020年にベトナムから技能実習生(以下、「実習生」)を受け入れ、初めて外国人材への対応などに戸惑いつつも、体制さえ整えば貴重な戦力として期待できるという手応えを感じたそうです。そこで、続いてタイからも実習生を受け入れました。

在留資格の知識や日本語教育のノウハウも少ない中、実習生の受け入れを手探りで行ってきた同法人でしたが、改めて受け入れと活用の体制を整備するため茨城県外国人材支援センターへ相談しました。2022年度より開始した介護版茨城県コース1期生の受入施設に採択され、教育支援や定着支援などのサポートを受けたことから、「自己流での受け入れ時と比べて、よりスムーズに現場での体制整備へつなげることができたと感じています」と振り返る飯塚さん。外国人材活用の成功体験を得たことで今後も積極的な雇用を続けたいと考えた同法人は、茨城県外国人材支援センターの雇用モデル企業へ応募し、行政書士や社労士への無料相談などのサポートを利用して雇用フローの確立や社内の賃金規定の見直しなども進めていきました。

ポテンシャルに注目し、インド人材を採用

受け入れ体制の整備を順調に進めた同法人は、さらなる雇用拡大を目指して、採用実績のあるベトナムとタイ以外の国へも目を向けていこうと2024年に法人単独でインド視察を実施しました。
インドに注目した理由について「人口が多いうえに平均年齢が28〜29歳と若く、言語能力も非常に高い点などが魅力でした」と話す飯塚さん。実際に現地を訪れて、国としての勢いや活気、求職者のスキルや意欲的な姿勢などにポテンシャルの高さを実感し、12名のインド人材を採用しました。
そのうち半数以上は自国での看護師資格を持ち、在宅介護の経験者やインドの伝統医学であるアーユルヴェーダのセラピスト、ヨガ講師も含まれています。
インドでの視察と面接を振り返り、「基準は違っても看護師資格を持つことは能力面での質の担保になりますし、たとえばヨガ講師のスキルをデイサービス施設でのレクリエーションに活かしてもらうなど、個々の能力に期待しての採用ができました」と話す飯塚さん。穴埋めとしての補充人員ではなく、この人だから採用したいと感じられるような優秀かつ意欲的な外国人材と出会えたことは大きな収穫だったそうです。

定期的・継続的なフォローアップが意欲向上と定着のカギ

同法人における外国人材採用への取り組みのポイントは、中長期的なビジョンに基づき人手不足に陥る前に先手を打つかたちで取り組んだことと、県が実施する支援事業を積極的かつ効果的に利用したことです。
とくに、介護版茨城県コースにおける日本語教育への費用補助や技能実習2号への移行へ向けた試験対策といった教育面でのサポートは、実習生の定着支援に直結しました。法人独自で日本語教育をしていた頃に比べて人員面でも費用面でも負担が大幅に軽減されただけでなく、きちんとした勉強の場が毎週あることで実習生自身もモチベーションの維持がしやすくなったようで、介護福祉士の合格を目標に掲げるなどより意欲的に取り組む姿勢が見られたそうです。
また、職員向けの異文化理解の研修によって実習生との関わり方に理解や余裕がうまれた雰囲気もあり、法人全体の意識として外国人材の活用に対する手応えを得ることができました。

インドから受け入れた特定技能人材は、介護や支援の現場で活躍中

将来を見据え、外国人材のさらなる雇用拡大を目指す

同法人は2040年までに従業員1,000名規模へ拡大することをビジョンに据えており、インド人材に続いて、インドネシア、ミャンマーからの複数名の特定技能外国人材の受け入れが決まっているほか、ネパールからの採用も予定しています。「すべての事業所に外国人材を配置することで『外国人の存在は特別ではなく当たり前』という環境にしたいですね」と話す飯塚さん。引き続き支援センターとつながり、さまざまなサポートやセミナー等の機会を積極的に活用すると同時に、インド人材採用に関するフィードバックを提供するなど情報や意見を交換し合う良好な関係が続いていきそうです。

社会福祉法⼈征峯会の取り組み例

外国人材採用における取り組みのポイント
  • 介護版茨城県コース1期生の受け入れ施設に採択され、実習生の採用および入国前の準備(オンラインによるオリエンテーション、日本語学習など)の支援を活用
  • 実習生の技能実習2号への移行という明確な目的を持って、試験対策や日本語学習のサポートを活用
  • 集合研修やレクリエーションなどの定着支援を活用し、法人への帰属意識や茨城への愛着の醸成につなげる
  • インド人材のポテンシャルにいち早く注目し、現地視察と面接を実施
  • 今後の外国人雇用、とくに技能実習法について深く学ぶ勉強会を職員に対して実施
採用担当者からの声

言わば自己流で始めた外国人材採用を継続・拡大していくにあたって、体制や環境の整備について全面的にサポートしていただきました。在留資格や雇用形態など専門知識が必要な場面での疑問にもすぐに答えをいただけるため、私どもの想像以上に手厚く、大変心強く感じました。
また、新たな国からの採用を検討する際も「この国はどんな感じですか?」と気さくな雰囲気で質問や相談ができる距離感も良かったです。
今後はさらに、他事業者の事例紹介や見学ツアーなど、幅広いネットワークを活かして有用な情報を発信していただけると嬉しく思います。

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