2段構えでの外国人材採用における取り組みのポイント
- 特定技能外国人材を採用・活用するために、彼らのフォローアップを担う人材として技人国(技術・人文知識・国際業務)を採用
- 就職フェアへの出展や登録人材紹介の活用によって、外国人材とのマッチングの裾野を広げる
- 面接や工場見学の設定および当日の同席、面接者の送迎などのサポートを活用
- 短期間での在留資格の更新手続きを行政書士と連携して実施
- 外国人材の配属先において、受け入れ前に在留資格や異文化理解に関する勉強会を実施
会社名:立正堂株式会社
所在地:茨城県常総市
事業内容:「純米せんべい」をはじめとする米菓の製造・販売
町田源一郎さん
外国人材を採用し、継続して活用していくためには、受け入れる企業側での入念な準備が欠かせません。
現場での作業人員となる特定技能外国人材の円滑な採用と定着を目指し、まずは特定技能外国人材のフォローアップを担うための技人国(技術・人文知識・国際業務)を獲得して2段構えでの受け入れ準備を進めた立正堂株式会社の取り組みをご紹介します。
立正堂株式会社は、ロングセラー商品「純米せんべい」などの商品で知られる老舗の米菓製造会社です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、百貨店などに販路を持ち、出荷量は右肩上がりにのびていますが、人員不足という課題を抱えており、ますます増加する注文に対応するための生産力アップができないことが悩みでした。
同社ではこれまで高卒採用をメインに人材の確保・補充を進めていましたが、近年は思うように新規採用が進まず、特定技能外国人材の活用へ目を向けるようになりました。
「茨城県外国人材支援センターのセミナーに参加し、県内企業での活用事例を聞いたことで『こんなにもたくさんの企業が活用しているんだ』と感じ、安心感や期待感が増しました。はじめてのことなので右も左もわからない状態でしたが、センターへ相談したところ、在留資格には在留期間が定められており、在留資格の更新ができなかった場合に雇用期間だけが残らないようにすることや、外国人材特有の事案があるため就業規則を見直す必要があるなど基盤づくりから丁寧なアドバイスを受けられました。また、雇用モデル企業に採択していただいたことでより手厚い支援を受けることができました」と町田さん。
社労士への無料相談を利用して外国人材を受け入れるための就業規則の見直しを進めるとともに、外国人材向けの就職フェアへの参加など、多角的なサポートを受けながら受け入れ準備を進めていきました。
今回の事例のポイントは、外国人材が働きやすい環境を用意するために、特定技能外国人材の受け入れ前に技人国(技術・人文知識・国際業務)を採用したことです。
同社が希望していたのは、米菓製造の現場で作業する特定技能外国人材の獲得ですが、外国人材を円滑に活用していくためには採用だけでなくその後の業務指導や生活支援が重要なカギとなります。
そのため、茨城県外国人材支援センターの担当者が提案したのは、特定技能外国人材を受け入れた際に彼らのフォローアップを担う人材として、まずは技人国(技術・人文知識・国際業務)を採用することでした。
希望に合った人材の採用に向けて、ますは外国人材とのマッチングを図ることが必要でした。
雇用モデル企業の特典を活用して参加した就職フェアには支援センターのアドバイザーも同行し、現場でのアテンドや面接者の在留資格の確認・判断などのサポートがありました。続いて、ベトナム出身のフォンさんからの人材登録を受けた支援センターより、同社の求める要件に合うとの判断から紹介・面接等のフォローがありました。
同社とフォンさんのマッチングは成功して内定となりましたが、その時点でフォンさんの在留期限は残り1ヶ月程度しかなく、期限内に在留資格を更新する必要がありました。通常では厳しいタイミングでしたが、支援センターの紹介で在留資格の手続きにくわしい行政書士の協力を得たことで、無事に短期間での在留資格更新を実現することができました。
また、受け入れ前に実施された支援センターのアドバイザーによる従業員へ向けての勉強会では、『できるだけ早め』といった曖昧な表現でなく『何日・何時まで』と具体的な指示を出すことが大切といったアドバイスなどもあり、受け入れ側としての心構えも整えていきました。
茨城県外国人材支援センターによるマッチングや面接の段取り、在留資格の更新手続きのサポートなどを受けて、同社は無事にベトナム出身の技人国(技術・人文知識・国際業務)であるフォンさんを採用することができました。フォンさんは2024年8月より管理部に勤務し、経理や勤怠管理などの業務と並行して現場での作業者向けのマニュアル作成に取り組んでいます。
現在同社では、フォンさんの出身国であるベトナムにて特定技能外国人材の面接を控えており、採用活動やその後の定着支援などにフォンさんの活躍がますます期待されます。
これまでに、外国人定住者や、留学生のアルバイトでの雇用は経験がありましたが、外国人材の採用ははじめての試みで、正直「何をすれば良いかわからない」という状態でした。
茨城県外国人材支援センターへ相談したその日から、伴走型の支援を超えた言わばプッシュ型の支援を受けることができ、2段構えでの採用計画の提案から実際の採用に至るまで、常にリードしながらサポートしていただいた印象です。
フォンさんの採用は最初の一歩なので、本当の採用活動はこれから。特定技能外国人材の定着や活用においても、引き続き支援センターに相談しながら積極的に取り組んでいきたいです。